この記事は、以下の内容についてまとめています。
✔Youtubeの広告収入は、消費税の課税対象外取引!
✔企業案件やYoutube以外のプラットフォームの場合、別途判断の必要あり!
✔課税事業者選択で消費税還付の可能性あり?(別記事)
また、この記事は、以下のような方に向けて作っています。
本記事は、Youtuberの消費税について解説するシリーズの第一弾として執筆しています。
Youtuberの消費税について調べたところ、思った以上に複雑だったのでまとめることにしました。
インターネットで軽く検索すると「海外取引なので課税不要」という結論のみ記載がありめでたし、となっているところも多くありますが、シリーズ化してもう少し深掘りします。
このシリーズは、以下の内容でお送りいたします。
※本記事の内容には、筆者の見解が含まれます。本記事の内容に基づいて税務判断をされる場合、自己責任でお願いいたします。
まず最初に結論から。Youtubeの収入は消費税の不課税取引(=対象外取引)です。そのため、Youtuberの皆様が受け取る広告収入については、消費税を納める義務はありません。
一般的に「売上1,000万円以上の事業者は消費税の納税義務がある」などと言われますが、それは課税取引の話なので、不課税取引であるYoutubeの広告収入には関係ありません。
Youtubeの広告収入でいくら稼いでも、消費税の納税義務はありません。
では、結論がわかったところで、なぜその結論なのか?につき深掘りしていきましょう。
下記の4要件をすべて満たした取引が消費税の課税対象となります。(消費税法第二条、第四条等)
①国内取引であること
②事業者が事業として行うものであること
③対価を得て行うものであること
④資産の譲渡・貸付け、役務の提供であること
Youtuberが得る広告収入は、「Youtuberという事業者が事業として」「対価を得て」「自分の動画に広告を載せるという役務を提供」しているので、上記②③④は満たすと考えられます。ですので、残りの①「国内取引であること」を満たすかを考えてみましょう。
消費税法上、国内取引をどのように判定するかについては、消費税法第四条3項の各号に定められています。(条文は読みこまなくても構いません。)
資産の譲渡等が国内において行われたかどうかの判定は、次の各号に掲げる場合の区分に応じ当該各号に定める場所が国内にあるかどうかにより行うものとする。ただし、第三号に掲げる場合において、同号に定める場所がないときは、当該資産の譲渡等は国内以外の地域で行われたものとする。
一 資産の譲渡又は貸付けである場合 当該譲渡又は貸付けが行われる時において当該資産が所在していた場所(当該資産が船舶、航空機、鉱業権、特許権、著作権、国債証券、株券その他の資産でその所在していた場所が明らかでないものとして政令で定めるものである場合には、政令で定める場所)
二 役務の提供である場合(次号に掲げる場合を除く。) 当該役務の提供が行われた場所(当該役務の提供が国際運輸、国際通信その他の役務の提供で当該役務の提供が行われた場所が明らかでないものとして政令で定めるものである場合には、政令で定める場所)
三 電気通信利用役務の提供である場合 当該電気通信利用役務の提供を受ける者の住所若しくは居所(現在まで引き続いて一年以上居住する場所をいう。)又は本店若しくは主たる事務所の所在地
前述のとおり、広告配信は役務の提供にあたるから、第二号に該当し「役務の提供が行われた場所」がどこかで判定する…と思いたくなりますが、そうではありません。(そもそもYoutube広告における役務の提供が行われた場所って、どこなのかわかりづらいですよね。視聴者は世界中にいるわけですし)
Youtube広告収入は、国境を越えて行われるデジタルコンテンツの配信等の役務の提供として、第三号に該当します。
第三号に該当する者の具体例として、国税庁は以下のものを挙げており、このうち「インターネットを通じた広告の配信・掲載」に該当します。
したがって、電気通信利用役務の提供を受ける者(ここでは、Google側を指します。Youtuberではありません)の所在地で国内取引かどうかを判定することになりますが、Youtubeに広告動画を配信しているGoogle Asia Pacific Pte.ltd.の所在地はシンガポールで海外ですので、国内取引には該当しないことになります。
これにより、上記要件①「国内取引であること」を満たさないため、Youtubeの広告収入は消費税の課税取引ではありません。
以上を図解すると、このようになります。
ということで、Youtubeの広告収入は不課税取引なので、Youtuberは消費税とは無縁!よかったよかった!
・・・と、ここまでで解説を終えているブログや記事も多いかと思います。
もう少し慎重に、深掘りしてみましょう。
今までの話は、あくまでYoutubeの広告収入の話です。
人気の出てきたYoutuberの方々の中には、企業からの依頼により報酬を得ることもあるでしょう。
これはYoutubeの広告収入とはまったく別物なので、あらためて4要件を満たすか個別で考える必要があります。
国内の企業からの依頼でしたら課税売上になる可能性が高いでしょう。
そして、課税売上が1,000万円を超えたら消費税の課税事業者となります。
判定は基準期間(主に2年前の売上)で行います。
Youtuber=消費税にいっさいの関係ナシ!というわけではないのでご注意ください。
上記と同様に、Youtube以外のプラットフォームで同様の収入を得ている場合も注意が必要です。
先ほどの話は、あくまでYoutuberの取引の相手先であるGoogle Asia Pacific Pte.ltd.が海外にあるから不課税取引になったという話であって、
同じような動画配信プラットフォームでも、相手先企業の所在地や広告配信の形態によっては消費税の課税取引となる可能性があります。
ここまでの検討で、Youtubeの広告収入は消費税の対象外取引であることがわかりました。
しかしながら、ここでひとつ疑問が浮かびます。
動画を作るために支払った、経費にかかる消費税の扱いはどうなるのでしょうか?
消費税の計算は、ざっくり、
「売上に含まれる消費税から、仕入(経費)に含まれる消費税をマイナスした残額を、国に納める」という方法で税額計算をします。
この記事により、Youtubeの広告収入は消費税の対象外(=売上に含まれる消費税がゼロ)だということはわかりましたが、仕入にかかる消費税はどのような扱いになるのでしょうか?
その内容は、次回の記事でお話できればと思います。
いかがでしたでしょうか。
Youtuberの消費税シリーズ第一回は、売上に含まれる消費税、すなわちYoutube広告収入が消費税の対象となるかにつき解説しました。
消費税は専門家でも悩むほど複雑ですので、所得税の確定申告以上に、自力で行うにはハードルが高いです。
当事務所では、Youtuber、動画配信者をされる皆様を強く応援しています!
確定申告や消費税にお悩みの際は、お気軽にご相談ください!
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YoutuberのYoutibeでの主な収入は広告収入だと思いますが、Youtuberって広告のないプレミアムについても分配されたり、投げ銭機のスーパーチャットの収入も入ります。これって消費税はどう考えるべきなんでしょうか?色々調べても分からず、ずっとモヤッとしています。